学校へ連絡できなかった、あの日の私へ。
朝8時が近づくと、 動悸がした。
連絡しなきゃ。
連絡しないと、教頭先生から電話が来ちゃう。
でも仕事にもいかなきゃいけなくて、
支度をしているうちについつい連絡を忘れてしまう。
すると、ついには職場にまで電話が来るようになった。
私の中で何かがブツっと切れた。
その夜、夫に学校への連絡ができないと
泣いて頼んだ。
その日から、学校への欠席連絡は
夫の仕事になった。
なぜ学校へ電話できなかったのか
毎日、見えないプレッシャーを感じていた。
「今日は、子どもを送り出せるの?」
「また欠席させるの?」
「やっぱり、あなたには子育ては向いてないんじゃない?」
頭の中で誰かが、私に詰め寄った。
重い足取りで2階へ上がって、子ども部屋の前でため息を一つ…。
そしてできるだけ口角を上げて、ドアをノックする。

どう?今日は行けそう?

・・・・・(首を横にふる)頭痛い。気持ち悪い。起き上がれない。めまいがする。

そっか…じゃあ休むって連絡するよ

・・・・・(布団の中で頷く)

はあ〜〜〜〜〜〜
深いため息と共に、階段を降りる。
今日もダメだった。
今日も送り出せなかった。
学校に行けない子どもを責める気持ちより、普通のお母さんのように学校に子どもを送り出せない自分の無能力さに嫌気がさした。
なんで普通のことができないのか。
ただ一生懸命に、子育てしていただけなのに。
ただ困らない人生になるように、一生懸命応援していただけなのに。
なんでこんなことになってしまったのか。
誰のせいなのか?
うちの子をいじめてきたあの子達のせいなのか?
いじめに立ち向かえる強い子を育てられなかった
私の子育てが間違っていたのか?
やっぱり、私のせいなのか?
ずっと頭の中でぐるぐるぐるぐる考える。
不登校の犯人探しをするけど、わからない。
なんで…
なんで…
なんでこうなった…
わからない…
その繰り返しの毎日だった。
毎日毎日、こんな繰り返しで、
朝が嫌いになった。
太陽が昇るのが怖くなった。
当時の先生とのやり取り
たった一本の欠席連絡が、こんなにつらいなんて思いもしていなかった。
毎朝、こんなに精神を削られるものだと思っていなかった。
毎日の欠席連絡が苦しかった
不登校になってから2ヶ月後。
担任との面談の席で、
「毎日の欠席連絡はしなければいけないのでしょうか」と聞いてみた。

決まりなので。お願いします
問答無用な回答。
毎日、
裁判にかけられているような気分だった。
アプリの「欠席理由」が書けなかった
欠席連絡は、アプリですることになっていた。
欠席にチェックを入れて、理由も入力しなければいけない。
頭痛?
吐き気?
発熱?
そういうことじゃない…
結局、いつもその他にチェックをつけた。
備考欄に、「いじめ」と書きたかった。
でもしなかった。
万が一、子供が学校に戻れたときに、
先生からよく思われないんじゃないかと
予防線を張ってしまった。
結局、中学にはほぼ戻れなかった。
あの気遣いは、無用なものだった。
ごちゃごちゃ考えた末に
結局、欠席だと伝えるたびに、
また今日も、親として失格だと思われている気がした。
職場にまで電話がかかってきた
そんな負い目もあって、連絡を躊躇しているうちに
出勤時間になって、朝8時までの連絡に間に合わないことが増えてきた。
連絡をし忘れると、学校から携帯に電話が来る。

あ…連絡しなくて、すみません…
- 連絡をしなかったこと
- 子どもを学校に行かせられなかったこと
ダブルで謝罪しなければいけない気分だった。
携帯電話への連絡に気付かないと、
ついには職場にも学校から連絡が入るようになった。

もう、やめてほしい…
学校なんて行けないに決まっているじゃん。
理由なんて、わかってるじゃん。
毎日毎日、連絡してこないで!
いい加減にしてほしい…
正直、こんなふうに思っていた。
自分が送り出せない母親のくせに、何を言っているのだと言われるかもしれないが、本当に学校からの連絡が負担だった。ストレスだった。
先生は、きっと
私を責めていたわけじゃなかったのだろう。
ただ、来るのか来ないのか確認したかっただけ。
登校中に事故があるといけないから、
なぜ確認しなかったのか、
後々、問題になるといけないから。
今なら先生の気持ちも分かる
今ならわかる。
確認をしなければいけないから。
仕事だから。
私が一番責めていたのは、
先生でも、 学校でもなく、
私自身だった。
子どもが学校を休んでしまうのは、
いじめを見つけられなかった学校に、
子どもの辛さをちゃんと伝えられなかったこと。
そして、苦しんでいた子どもの気持ちを軽くみてしまった
自分の責任だと思っていた。
今振り返って思うこと
あの日の私へ。
学校へ
「今日も休みます。」
その一言を伝えるだけで、
あんなにも苦しかったよね。
でも、大丈夫。
その連絡を、
毎日続けていたあなたは、
十分頑張っていたよ。
夫にSOSを出せたことも、
自分の身を守るためには必要だった。
そして、SOSを黙って受け止めてくれた夫にも、感謝している。
もし今、この文章を読んでいるあなたも、学校へ連絡するだけで胸が苦しくなるなら、どうか自分を責めないでください。
その電話一本の重さは、経験した人にしか分からないものです。
今日一日を乗り越えただけでも、十分頑張っています。
