朝、子どもの部屋のドアをそっとノックする。
「今日はどう?」
…返事がない。
重い空気のまま、私だけ朝ごはんを食べて、出勤する。通勤電車の中で、ずっと考えている。「どうすれば学校に行ってくれるんだろう」「このまま引きこもったらどうしよう」。
不登校のはじまりって、こんな毎日じゃないですか?
私もそうでした。長女が高校3年生で不登校になり、続いて次女が中学1年生で不登校に。毎日毎日、焦っていました。
そのころの私にとって、「待つ」という選択肢は存在していませんでした。「待つ=諦め」だと思っていたから。
でも、あるときから「待つことを選ぼう」と決めました。
そうしたら、変わったのは子どもより先に、私自身でした。
この記事では、焦りのループにはまっていた私がどうやって「待つ親」に変わっていったか、実体験をお話しします。
記事の最後に、「待つことを選んだ親のための無料チェックリスト」もご用意しています。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
待つ前の私:焦りのループに陥っていた頃
子どもが不登校になりたての頃、私は毎朝こう声をかけていました。

今日は学校どうする?行けそう?
「学校行きなさい」とは言わないようにしていたつもりでした。でも、毎朝「どうする?」と聞くこと自体が、プレッシャーをかけていたんですよね。
他にもやっていたこと。
*近所の同い年の子を見かけるたびに「うちの子は…」と比べてしまった
*「このまま高校に行けなかったら?就職できなかったら?」と毎晩考えた
*早く動き出してほしくて、フリースクールや家庭教師の話を次々と持ち出した
*「不登校を解決する!」という広告に飛びつき、高額サービスを申し込みそうになったこともある
今思えば、全部「親の不安」を解消しようとしていた行動でした。
子どものためと思いながら、実は自分の焦りを何とかしたかっただけ。
でもそれって、おかしいことじゃないと思うんです。
焦るのは、子どものことが大切だから。愛しているから。焦りは愛情の裏返しなんです。
だから、かつての自分に言いたい。「あなたは間違っていない。ただ、方向が少しズレていただけだよ」と。
「待つ」を選んだきっかけ
転機はいくつかありました。
一つは、次女の主治医(児童精神科医)の言葉です。

今は「エネルギーを充電する時期」です。充電が終われば、自分で動き出します。親御さんが焦って動かそうとすると、逆に時間がかかってしまうことがあります。
もう一つは、不登校には段階があると知ったことです。動き出すまでに時間がかかるのは、異常なことじゃない。むしろ、その時間は回復のために必要なんだと。
▶ 不登校の回復には段階がある【7段階で理解する子どもの気持ち】
そして、正直に言うと……自分自身がもう限界だったという理由もあります。
仕事のストレス、ワンオペ、パワハラ、経済的な不安、親の介護。不登校の子を抱えながら、ひとりでぜんぶ抱えていたら、体がついてこなくなりました。
もう動かせない。動かそうとするエネルギーが、私には残っていなかった。
「もう待つしかない」という限界が、実は「待つ」のスタートでした。

もう、諦めよう。
諦めじゃなくて、信じよう。この子は自分で動き出せる。
「待つ」は諦めじゃない。子どもの力を信じる、勇気ある選択なんだと、その日から少しずつ思えるようになっていきました。
待つことを選んで起きた「親の5つの変化」
「待つ」を選んでから、変わったのは子どもより先に私自身でした。具体的に何が変わったか、お伝えします。
① 焦り・不安が減り、心に余裕が生まれた
Before:毎日「何かしなきゃ」という焦りで頭がいっぱい。夜中も眠れず、ぐるぐると考え続けていた。
After:「今日は待つ日」と決めると、不思議と焦りが和らいだ。
「何もしていない」じゃなくて、「待つことを選んでいる」。この言葉の違いが、思っていた以上に大きかったです。
朝、「今日は声をかけない」と決めて出勤する。それだけで、通勤中の気持ちが少し軽くなりました。
② 子どもの気持ちを「そのまま」受け止められるようになった
Before:子どもが「学校行きたくない」と言うたびに、すぐ「なんで?」「どうしたら行ける?」と問い詰めていた。
After:「そっか、行きたくないんだね」と、ただ受け止められるようになった。
あるとき次女が「試験なしで入れる高校があるの、知ってた?」とポツリと話しかけてきました。
以前の私なら「そんな高校で大丈夫なの?」と言っていたと思います。
でも、その日は「そうなんだ!調べてみたの?すごいね」と返せた。
次女は嬉しそうに、スマホで調べたことを話してくれました。これが、次女が自分から動き出した最初の瞬間でした。

私が「受け止めるだけ」にしたから、この子は話してくれたんだ。
子どもは、評価や解決を求めていない。ただ、「聞いてほしい」だけなんですよね。
③ 自分の人生を主役に戻せた
Before:子どものことで頭がいっぱいで、自分のやりたいことや楽しいことを後回しにしていた。
After:子どもの不登校と「自分の人生」を切り離して考えられるようになった。
「待つ」と決めてから、自分のための時間を意識して作るようにしました。好きなYouTuberを見る、散歩する、好きな本を読む。
不思議なことに、自分が機嫌よくいると、家の空気が変わるんです。
▶ 自分の機嫌は自分でとる【不登校の親が始めた朝の習慣】
子どもの機嫌は、親次第。自分が笑顔でいると、子どもにも伝わっていくんだなあと実感しました。
④ 家族の空気が柔らかくなった
Before:朝の食卓はいつも重く、家族みんながどこかピリピリしていた。
After:笑い声が聞こえるようになった。
私が焦りをやめると、夫も少し楽になったようでした。子どもも、腫れ物に触られるような雰囲気がなくなってきた。
ある朝、次女が自分から「おはよう」と言ってきた。たったそれだけのことで、泣きそうになりました。
親が変わると、家族全体の空気が変わる。本当にそう思います。
⑤ 長期視点で子どもの力を信じられるようになった
Before:「早く!早く!」と常に短期視点で焦っていた。
After:「この子はきっと自分のペースで動き出す」と、長い目で見られるようになった。
「不登校の親の会」で出会ったお母さんたちが言っていました。

あの頃は本当に不安でいっぱいだったけど、子どもって自分で道を見つけていくんですよ。信じてあげてよかったと、今は思っています。
その言葉が、今も支えになっています。待つことは、信じること。そう思えるようになりました。
待つために私が実践した具体的なこと
やめた3つのこと
①「今日は学校どうする?」という朝の声かけをやめた
②他の子と比べる思考をやめた(「うちの子は…」と思い始めたら意識的に止める)
③早急な「解決策」を探すのをやめた(フリースクール・家庭教師などを先走りで提案するのをやめた)
始めた5つのこと
①毎朝「今日も待つ」と自分に言い聞かせる
②子どもが話しかけてきたら、アドバイスせずにまず「そうなんだね」と受け止める
③自分の時間を1日30分確保する(好きなことをする時間)
④「待つ勇気」を選んだ自分を1日1回褒める
⑤子どもの小さな回復の兆しをメモする
「始めた5つ」の中で、特に効果を感じたのは⑤のメモでした。
「今日は机に向かって15分いた」「久しぶりに笑った」「自分から話しかけてきた」……書き留めておくと、後から見返したときに「ちゃんと進んでいる」と思えます。
焦りが湧いたときに見返すと、少し落ち着けます。
無料チェックリストのご紹介
この記事で書いてきた「やめること・始めること・心の変化」を、1枚にまとめたチェックリストを作りました。
タイトルは「待つことを選んだ親のためのチェックリスト」。
📋 チェックリストの内容
① 「待つ」を妨げる行動をやめられているか?(やめたことチェック)
② 「待つ」を支える習慣をはじめられているか?(始めたことチェック)
③ 親自身の心に変化を感じられているか?(内面的チェック)
+ 毎週使える振り返りスペース付き
完璧にできなくて大丈夫です。
チェックできないところがあっても、責めないでください。
1週間に一度、自分を優しく振り返るために使ってもらえたら嬉しいです。
変化の先に起きたこと
「待つ」を選んでから、次女が少しずつ変わっていきました。
最初は、朝「おはよう」と言えるようになった。
次に、自分から「通信制高校を調べてみた」と話してくれた。
そして最近は、ニコニコしながら起きてくることが増えました。

なんか最近、ママ元気だよね〜(ニコニコ)
子どもが私の変化を感じてくれていた。
「待ったからこそ見えた子どもの強さ」があります。自分で考えて、自分で動こうとする力。それは、私が焦って押し付けていたときには見えなかったものでした。
あなたのお子さんにも、その力は必ずあります。
あなたが変われば、家族が変わります。
まとめ:待つことは親の成長の時間
この記事でお伝えしたかったこと、まとめます。
✅ 焦りは愛情の裏返し。だから自分を責めなくていい
✅ 「待つ」は諦めじゃなく、子どもの力を信じる選択
✅ 待つことを選んだとき、最初に変わるのは親自身
✅ 親の変化が、家族全体の空気を変えていく
✅ 待つ時間は、親自身が成長できる時間でもある
同じように「待つ」を選んで、毎日揺れながら頑張っている親御さんと繋がりたいと思っています。
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それでは、また。
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